問題集を配って「解いておいて」と言われても、実は何をどう回せば伸びるのかは、誰も教えてくれない。多くの人は最初から順番に解いて、間違えたら答えを見て、次の問題に進む。これを1周やって「終わった」にしてしまう。

結論から言う。それでは伸びない。 問題集が本当に効くのは、1周目ではなく、間違えた問題をどう2周目・3周目に持ち越すかで決まる。ここでは passed.jp の英語問題集を実際にどう回すと定着するかを、手順とその理由つきで書く。哲学は最後に少しだけ触れる程度にして、主役は手順に絞る。

1周目:時間を計らず、全部解く

最初の1周は、正解数を気にしない。むしろ間違えるために解くくらいの気持ちでいい。

passed.jp の英語問題集は、学年別の演習(中学1〜3年生・語彙)から5問・10問・15問の単位で解き進められる。1周目はここを、時間を計らず、思いついた答えをそのまま出す。分からない問題も、勘でいいから何かを選ぶ。止まって考え込む必要はない。

なぜこの順番が効くか。1周目の目的は「点数を取ること」ではなく「自分がどこを分かっていないかを洗い出すこと」だからだ。時間を計ったり正解数を気にしたりすると、無意識に「解ける問題を選んで解く」動きが混ざり、本当の弱点が浮かび上がらない。1周目はあえて雑に、全部に当たる。ここで出た間違いこそが、これから先の学習の対象になる。

解き終えると、得点と正答率が出る。この数字自体は気にしなくていい。大事なのは点数ではなく、この後に出てくる「どこで間違えたか」の記録の方だ。

間違えた問題を、ただ流さない

答え合わせの瞬間が、実は一番差がつくところだ。

不正解だった問題には、「自分の解答」と「正答」に加えて、なぜその間違った選択肢を選んでしまうのかという誤答パターンにまで踏み込んだ解説が出る。たとえば三人称単数の主語なのに一人称用のbe動詞を選んでしまう、といった「やりがちな間違い方」そのものへの言及だ。

ここを読み飛ばして次の問題に進むと、1周目とまったく同じ間違いを2周目でも繰り返す。理由は単純で、「正解を覚える」と「なぜ間違えたかを理解する」は別の作業だからだ。正解だけを見て「be動詞はis」と覚えても、次に似た文が出たときにまた同じ勘違いをする。「自分はどう考えて誤答を選んだか」まで一度言語化して初めて、次に同じ罠にはまらなくなる。

全問解き終えたら、一覧画面で自分の解答と正解を突き合わせて見返せる。ここで一問ずつ個別の解説に戻ることもできる。1周目が終わった直後に、この一覧をひと通り眺めるひと手間が、2周目の効率を大きく変える。

2周目:間違えた問題だけを、もう一度

2周目は、1周目で間違えた問題だけに絞る。全問をもう一度解き直す必要はない。

なぜ絞るか。1周目で正解できた問題は、少なくとも今の時点では理解できている。そこにもう一度時間を使うのは、伸びしろのない場所を掘る作業になる。限られた時間は、まだ理解できていない場所にだけ使う。 1周目で全問解いて間違いを洗い出したのは、まさにこの絞り込みをするためだ。

2周目で解いてみて、また間違えることがある。それは失敗ではなく、想定内の反応だ。一度説明を読んだだけで完全に頭に入るなら、そもそも誰も復習という工程を必要としない。間違えたら、また解説を読む。今度は「さっき読んだはずなのに、なぜまた同じ選択肢を選んだのか」まで考える。ここまでやると、間違え方の癖そのものが見えてくる。

3周目以降:完全に解けるまで、対象を減らしながら回す

3周目も、やることは同じだ。2周目でまだ間違えた問題だけに絞って、また解く。

このプロセスを繰り返すたびに、対象の問題数は減っていく。1周目で10問間違えたなら、2周目で残るのは5問、3周目で残るのは2問、というふうに絞り込まれていくのが健全な形だ。同じ問題を回しても数が減らない場合は、その単元の理解そのものが浅いというサインなので、答えを覚える作業から離れて、その単元の基本に一度立ち返った方がいい。

対象がゼロになるまで、この「間違えた分だけ次に持ち越す」を続ける。全問を毎回律儀に解き直す必要はない。同じ時間をかけるなら、まだ解けない問題に集中投下した方が、伸びは大きい。

弱点が偏っている時は、単元別のページでまとめて叩く

学年別の演習を何周かすると、「受動態でよく間違える」「現在完了だけ苦手」というふうに、間違いの偏りが見えてくることがある。

そういう時は、文法の単元ごとに用意された問題ページを使う手がある。passed.jp の英語問題集には、be動詞・一般動詞・現在進行形・疑問文・過去形・助動詞・未来形・There is/are・接続詞・不定詞と動名詞・比較・受動態・現在完了・関係代名詞・分詞構文・間接疑問文・関係副詞・熟語・単語といった単元ごとに、まとまった数の問題が用意されている。特に単語と熟語は問題数が多く、語彙の底上げにそのまま使える。

こちらはタップするとその場で正誤が色分けされる、テンポの速い形式になっている。学年別演習で見つけた弱点単元を、ここでまとめて集中的に叩く。1問ずつ順を追う必要はなく、苦手な単元のページに絞って、そこだけを繰り返せばいい。弱点が特定の文法にはっきり偏っている人ほど、この単元別ページの使い方で伸びが変わる。

インパクト部門は、最後の一押しに使う

一通り真面目に回した後、気分転換を兼ねて「ありえない英語で覚える」という特設コーナーを覗くのもいい。詐欺メールの珍訳やSNSの時事ネタなど、実話ベースの突拍子もない英文を使って文法を記憶に刻む作りになっている。時事ネタを扱うワールドカップ2026の特設問題も同様だ。

これらは真面目な反復学習の代わりにはならない。あくまで、地道な周回で作った土台の上に、記憶を長持ちさせるための一押しとして使うのがいい。「あの奇妙な英文と同じ形だ」という記憶の引っかかりは、淡々とした例文だけを回すより長く残る。

回し方のまとめ

やることを短くまとめると、こうなる。

  1. 1周目:時間を計らず、学年別演習を全問解く。目的は弱点の洗い出し。
  2. 間違えた問題は、正解だけでなく「なぜその誤答を選んだか」までの解説を読む。
  3. 2周目:間違えた問題だけに絞って解き直す。
  4. 3周目以降:対象がゼロになるまで、間違えた分だけを繰り返す。
  5. 弱点の単元がはっきりしたら、単元別のページでその単元だけをまとめて叩く。
  6. 気分転換とだめ押しの記憶定着に、インパクト部門や時事ネタの問題を使う。

どの手順にも共通しているのは、同じ作業を漫然と繰り返さないということだ。1周目で全部を洗い出し、2周目以降はそぎ落とした対象だけに時間を使う。これだけで、同じ問題集でも伸び方がまったく変わる。

最後に一言だけ。英語に限らず、勉強は合格した瞬間に終わるものではない。合格の先で人に頼られる場面が来た時、実際に使える力になっているかどうかは、この地味な回し方の積み重ねで決まる。派手な近道より、間違えた問題を一つずつ削っていく作業の方が、結局いちばん早い。